業界別!イギリスマーケットサイズ・市場動向 Vol.2
ウォード 涼子
弊社東京エスクのブログでは、イギリスを中心とした欧州の各業界のトレンドや市場動向についてお伝えしています。今回は、Vol.1に引き続き、お客様のご関心の高いファッション、エレクトニクス、映画の3つのマーケットサイズについてご紹介いたします。
イギリスのファッション
オクスフォード・エコノミクスのデータによれば、2016年のイギリスのファッション業界のイギリス経済に対する直接の貢献額は297憶ポンドでした。[1] イギリス全体での雇用数は、約85万と言われています。[1]
女性被服の売り上げは、2017年には2.9%増加、281憶ポンドに達し、2021年までに287憶ポンドまで成長すると予想されています。[1] 男性用の売り上げでは、全体のファッション市場(被服)全体の4割を占めており、2017年には3.5%増加しました。[1] また、高級ファッション市場では、中国観光客が最大の消費者と言われています。[1]
販売チャネルとしては、オンライン販売が成長をみせています。2017年ミンテル(Mintel)のレポートによれば、ファッション市場におけるオンライン販売は、全体の消費の24%を占めています。[1] オンライン販売は今後も成長を続けると予想されており、2020年までに全体の29%を占めるだろうと予想されています。[2]
イギリスのファッション市場におけるEコマースやトレンドの詳細については、こちらの弊社ブログをご覧ください。
イギリスのエレクトロニクス
エレクトロニクス(リテール)
ある調査によると、イギリスでのエレクトロニクス(リテール)の市場価値は年々減少を見せており、2018年には180憶ユーロ程度になるだろうと予想されています。[3]
例えば、イギリスの最大のエレクトロニクス・リテーラーは、マップリン(Maplin)ですが、その純資産は2014年から急激な減少を見せており、2017年時点で207万ポンド落ち込んでいます。 [3]
ワイアレス・スピーカーや「身に着けられる」エレクトロニクス製品がほぼ唯一大きな成長を見せている分野のようです。[4] その他の製品カテゴリーでは、これといった大きなイノベーションが見られない、テレビやスマートフォンなどの様々なディバイスが既に十分市場に浸透し飽和状態になってしまっていることなどから、成長率は低迷の一途をたどっています。[4]
エレクトロニクス(製造業)
イギリスのエレクトロニクス製造業の全体の売上高は、2017年時点で約10憶ポンド、年間成長率は2013年から2018年の間で約マイナス4.8%です。テレビ、ヘッドフォン、高品質のサウンドシステムなど、エレクトロニクス製品における全体の需要が低迷していることから、エレクトロニクスの製造業もイギリス市場では悪影響を受けています。[5] 価格の引き下げに伴い、全体の売上高も減少しています。[5]
コンシューマー・エレクトロニクス製品の製造自体が、人件費が安くサプライチェーンの豊富なイギリス国外で行われることがより主流になってきています。[5] 同業界はグローバル化が特に進んでおり、輸出額は2017年~2018年で11憶ポンド、輸入額は7憶8000万ポンドになるだろうと予想されています。[5]
イギリスの映画
映画(映画館)
イギリスの映画館での売上高は、2017年で12憶7788万ポンドと記録されています。[6]
イギリスでの映画館利用は、戦後1946年に来訪者数16憶4000万というピークを迎えてから、徐々に低迷を見せ、1984年ごろに5400万程度まで減少してきたという背景があります。[7] それ以降、マルチプレックス広告、現在も続く映画館体験の質向上への投資増加などが寄与し、2000年頃から映画館の利用回数は再度上昇を見せ、来訪者数は1憶5000万以上まで回復しました。
映画(オンラインストリーミング)
映画だけでなくTV番組もオンデマンドでオンライン視聴できるサービスは、イギリスでは好成績を見せています。主なプレーヤーは、ネットフィリックス(Netflix)、アマゾン・ビデオ (Amazon Video)、SkyのNow TVなどがありますが、その中でも圧倒的な力を見せているのはネットフィリックスです。[8]
イギリスの世帯全体のうち約4分の1はネットフィリックスに登録しているとされています。[8] ネットフィリックスは、2014年~2015年の間に140万人の新規登録者を獲得するなど急成長しています。[8] その他、アマゾン・ビデオは50万世帯、Now TVは30万の新規登録者を獲得しました。[8]
このようなオンラインのオンデマンド視聴サービスの成長スピードはかなり速く、例えば2014年の第1四半期にネットフィリックス、アマゾン・ビデオ、Now TVに登録していた世帯は全体の14%だったのに対し、2015年には24%までに増加していました。[8] 上記の映画館での映画視聴に比べ、勢いがあることが分かります。
まとめ
今回はVol.1に引き続き、イギリスの様々な産業のマーケットサイズについてご紹介いたしました。今後も他業界の市場規模や、それぞれを深堀した、Eコマース関連を中心とした各業界のトレンドについてブログにて発信していく予定です。
また、弊社東京エスクでは、イギリス・ロンドンを中心とした欧州のマーケット・リサーチを行っております。上記の産業を含む様々なマーケットでの調査実績がございます。もしご興味ございましたら、こちらよりお気軽にご相談ください。
参考リンク
[2] https://www.pwc.co.uk/assets/pdf/uk-premium-lifestyle-market.pdf
[3] https://www.statista.com/statistics/491307/consumer-electronics-united-kingdom-uk-market-value/
[4] http://www.euromonitor.com/consumer-electronics-in-the-united-kingdom/report
[5] https://www.ibisworld.co.uk/industry-trends/market-research-reports/manufacturing/manufacture-of-computer-electronic-optical-products/consumer-electronics-manufacturing.html
[6] https://www.cinemauk.org.uk/the-industry/facts-and-figures/uk-cinema-admissions-and-box-office/annual-box-office/
[7] https://www.cinemauk.org.uk/the-industry/facts-and-figures/uk-cinema-admissions-and-box-office/annual-admissions/
[8] https://www.ibtimes.co.uk/netflix-dominates-uk-video-streaming-market-beating-amazon-skys-now-tv-1551208
東京エスクはロンドンを拠点とするマーケットリサーチ・エージェンシーです。日本とヨーロッパの架け橋となります。日本と海外ビジネスの相互理解を促進するとともに、カルチャーという視点から、新たなビジネスチャンスを発見いたします。
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