
業界別!イギリスマーケットサイズ・市場動向 Vol.1
ウォード 涼子
今回は、特にお客様からご質問の多い、フィンテック、食品・フード、ステーショナリー・文房具の3つのマーケットに絞って、イギリスでの市場規模についてご紹介いたします。
弊社東京エスクのブログでは、フィンテック、スタートアップ、コワーキングスペース等を含む、イギリス・欧州の市場動向についてお伝えしています。
フィンテック(ファイナンス・バンキング)
2016年イギリスのフィンテック市場規模は、取引額で言うと1685億2200万USドルで、今後の年間成長率は20.4%、2020年には3536億6700万USドルまでに上るだろうと予想されています。[1]
この取引額には、「デジタル・ファイナンス・サービス」、「電子支払い/デジタルペイメント」、「マーケットプレイス貸出」、「ロボアドバイザー」、「オンラインクラウドファンディング」「ベンチャーファイナンス」が含まれていますが、その中でも「デジタル・ペイメント」が最も大きなセグメントを占めており、取引額は1516億8200万USドルでした。[1]

世界的に見ると、デジタル・ペイメントの年間成長率は10%(4263憶USドル)になると予想されています。イギリス市場では2020年までにデジタル・ペイメントの利用者数は5340万人に達すると言われています。[1]
支払いアプリ、個人同士の金貸し用プラットフォーム、電子通貨等、より安価にかつ簡単に利用できるインターネットやスマートフォンでの支払いサービスが台頭してきているのが特徴です。
ロンドンフィンテック事情と背景についてさらに詳しく知りたい方はこちらの記事、またイギリスの注目スタートアップ一覧はこちらをご覧ください。
食品・フード
スーパーマーケット

ニールセンの公開した調査結果によると、2017年イギリスのスーパーマーケットのオンラインシェアはわずか1%増であったということが分かっています。[2] 同年、食品のオンライン売り上げ自体はイギリス全体で4.6%増加し、66憶ポンドに達しているものの、スーパーマーケットの展開するオンラインサービスの同市場でのシェアは6.3%から6.4%までの成長にとどまっています。[2]
オンラインでスーパーマーケットから食品を買う頻度の平均は月1回以下のみで、店舗での平均入頻度の月21回に比べるとかなり低いということがわかります。[2]
フード・デリバリー
2017年に行われた調査によると、イギリスのフード・デリバリー市場全体の規模は 65億ポンドで、そのうちもっとも最もメジャーな注文方法はレストランに電話すること(27憶ポンド)、その次がオンライン注文でした。[3] [4] 電話注文が大半を占めていますが、オンラインの注文の中ではデリバルー (Deliveroo)やジャスト・イート(Just Eat)などのフード・デリバリー用のアプリが人気の手段になってきています。 [3]
外食産業に比べると、2016年ではデリバリー市場は10倍の速さで成長しています。一年で外食利用回数はわずか1%増だったのに比べ、デリバリー産業では利用回数が10%も増加しています。 [5]
2017年時点で、フード・デリバリー全体の65%は夕食なのに対し、昼食は11%、朝食にいたっては全体のわずか5%のみで、これらのサービスにまだまだビジネスチャンスがあるとの見方もされています。[5]
そのほか、急成長を見せるフード・デリバリー市場を受け、特にテック系の投資が活発になっており、ファイナンシャル・タイムズでも触れられています。[6]
食品製造業
食品産業(飲料を含む)の売上高は約973憶ポンドで、イギリスの製造業市場全体の19%を占めています。[6] 同産業はイギリスの製造業市場の中では最大で、例えばイギリスの自動車製造業・飛行機製造業を合わせたものより大きな市場規模を誇っています。[7]
約40万人の雇用があり、今後7000万人に達するだろうと言われている人口の需要に応えるためにも、2024年までに新たに14万人の雇用が必用だと言われています。[7]
輸出額は、2017年で合計220憶ポンドを上回っており、食品(ブランド化されたもの)と飲料(アルコール飲料を除く)の輸出額だけで見ると、輸出額の上昇率は30%を超えており2020年までに60憶ポンドに達すると予想されています。[7] 主な輸出先は、一番大きい市場順ではアイルランド、アメリカ合衆国、フランスとなっています。[6]
ステーショナリー・文房具

イギリスのステーショナリー・文房具産業の市場規模は、2016年時点で約20憶6000万ポンドで、2016年までの過去5年間で3.2%の成長を見せています。[8] 今後の成長率は2.4%、2021年には約21憶ポンドに達すると予想されています。[8]
ここでいうステーショナリー・文房具とは「紙類・ノートパッド」、「書き(描き)道具」、「アクセサリー(ペン立てなど、文房具に付随する周辺グッズ)」、「収納グッズ」を含んでおりますが、ある調査ではその中でもペンなどの「書き(描き)道具」と「アクセサリー」の成長が2016年までの過去5年間で最も著しいと言われています。[8]
ステーショナリー・文房具の市場浸透率は、女性では57.4%、男性では42.6%で、全体の9.7%がオンラインで購入されています。[8]
イギリスマーケットサイズ・まとめ
今回はイギリスの様々な産業のマーケットサイズについて、簡単にご紹介いたしました。今後も他業界の市場規模についてブログにて発信して行きます。
また、弊社東京エスクでは、イギリス・ロンドンを中心とした欧州のマーケット・リサーチを行っております。上記の業界を含む様々なマーケットで調査を実施しております。もしご興味ございましたら、こちらよりお気軽にご相談ください。
参考リンク
[1] https://www.techbullion.com/size-uk-fintech-market-transaction-value/
[2] https://www.retailgazette.co.uk/blog/2018/04/online-grocery-shoppings-market-share-grows-just-1-2017/
[3] https://www.statista.com/statistics/681158/methods-of-food-delivery-services-united-kingdom-uk/
[4] https://www.statista.com/statistics/690783/food-delivery-market-size-by-channel-united-kingdom-uk/
[5] https://www.npdgroup.co.uk/wps/portal/npd/uk/news/press-releases/home-delivery-in-britain-growing-10-times-faster-than-eating-out-market/
[6]https://www.ft.com/content/5930b09a-32cf-11e6-bda0-04585c31b153
[7] https://www.fdf.org.uk/statsataglance.aspx
[8] https://www.prnewswire.com/news-releases/the-uk-stationery-market-2016-2021-300351119.html
東京エスクはロンドンを拠点とするマーケットリサーチ・エージェンシーです。日本とヨーロッパの架け橋となります。日本と海外ビジネスの相互理解を促進するとともに、カルチャーという視点から、新たなビジネスチャンスを発見いたします。
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