イースターの季節、ヨーロッパでの祝われ方と期間限定商品
アレクサンダー・ブラウン、河野圭那
近年日本でも認知度が高まっているイースター。もともとはキリスト教の祝日ですが、ヨーロッパではどのように祝われているかご存知ですか?当記事では、イースターの文化的背景とヨーロッパの企業がいかにこの時期をビジネスチャンスとして利用しているかについて解説しています。
イースターとは?
イースターとはキリスト教の祝日で、イエス・キリストの復活を記念しお祝いされます。
十字架にかけられ亡くなったイエス・キリストがその3日後、奇跡的に復活したことを祝うため、キリスト教徒にとって大切な祝日となっていて、毎年春分の日の後の最初の満月の次の日曜日にお祝いされています。
イースター自体は日曜日ですが、その前後の金曜日と月曜日はGood Friday/Good Mondayとして世界各国で連日祝日となることが多く、イースター休暇を楽しむ人も少なくありません。
近年ではクリスマス同様、キリスト教徒以外にもイースターは浸透しており、最近では日本でもお祝いされています。
イースターをキリスト教徒として祝うのではなく、春の始まりを祝ったり、家族との時間を過ごしたり、リラックスする機会として過ごされる人も多いのではないでしょうか。
なぜ卵・ウサギが定番になったのか
イースターといえば、ウサギや卵を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
しかし、実際にはキリスト教の聖書や教えにはイースターとウサギ・卵の関連性を示唆するものはありません。
諸説ありますが、一説によると、イースターの伝統の多くは古代異教徒のエオストレ祭の伝統に基づいていると言われています。
その豊穣と春の女神を祭るエオストレ祭のシンボルが、繁殖率の高いウサギでした。
しかし、ウサギは卵を産まないにもかかわらず、毎年イースターではウサギが卵を運んでくること設定を前提にした行事が行われます。
ウサギと卵には直結の関係性はなく、卵も古くより豊穣・再生・新たな人生・新たな始まり等を象徴していることからイースターに関連するようになったと言われています。
キリスト教の視点からは、卵はイエス・キリストの復活・お墓よりもその姿を表すことを象徴しています。
十字架のシンボル
イースターのシンボルとして一番大切なのは、やはり十字架ではないでしょうか。
イエス・キリストの生贄を表す十字架は、キリスト教徒にとって常に大切なシンボルであり多くのキリスト教徒は日々十字架を身につけています。
しかしイエスの復活を祝うイースターでは、より十字架のシンボルが強調され各地で十字架が展示されます。
イースターの祝われ方
ヨーロッパ各地でお祝いされているイースター。
食習慣であったり、行われる行事であったり、各国・各家庭でそれぞれイースターの過ごし方に違いがあります。
イギリス・ドイツ・フランス等、多くの西ヨーロッパの国々では卵型のチョコレートを庭などに隠し、それを子供たちが探し出すゲームがよく行われています。
また、卵型チョコレートを探し出すゲームに続いて、卵型チョコレートを大切な人と贈り合うのもとても人気です。そのためこの時期になると、毎年多くのスーパーに卵型・ウサギ型チョコレートが並んでいます。
イースターでは、子供から大人まで幅広い世代がウサギ・卵型のチョコレートに胸を躍らせます。バレンタインに続き、チョコレート産業にとっては見逃し難いセールスチャンスなのではないでしょうか。
チョコレート以外にも、イースター仕様のバスケットに雑貨や小物、さまざまなプレゼントを敷き詰め贈る風習もあります。
イースターをセールスチャンスに
連日祝日となるため、イースター休暇を家族と過ごすために遠出したり、国内外に足を運び休暇を楽しむ人も多くいます。そのため観光業をはじめとした数多くの業界がイースターによって勢いを増しています。
イースターによる経済効果は毎年とても大きく、2022年のイギリスではイースターによって13億ポンド(約2127億円)、2023年にはドイツで22億ユーロ(約3155億円)もの経済効果があると予想されています。
旅行業界のイースタープロモーション
イースター休暇は旅行業界にとって、とても大きなビジネスチャンスとなっていることは言うまでもありません。
コロナによる規制が緩和され過去数年に比べて旅行客数の増加が見込まれる今年、各航空会社はイースター休暇に先駆けて数多くのプロモーションを開催しています。
EasyJet(イージージェット)
イギリスの格安航空会社であるEasyjetは、毎年恒例となっているイースターセールを開催しています。2023年にはコロナの規制も緩和され、数多くの人が再び旅行を計画しています。
イースター休暇は4日間とあまり長くはないため、ヨーロッパ内の旅行を楽しむ人が多いようです。規制緩和に伴い、ますます旅行業界の飛躍が期待できます。
TUI
ドイツの旅行会社TUIは、ヨーロッパ全域でイースターの週末のキャンペーンを実施しています。同社のウェブサイトは、運営する国ごとに(オランダなど)適切にローカライズされており、より多くのターゲットにリーチすることを可能にしています。
英国市場では、英国人旅行者に人気の高いテネリフェ島やスペインへの直前割引航空券を多く打ち出しています。特に、冬の寒さが遠のき春の訪れが感じられるイースターの時期には、暖かい場所が人気です。
下の画像は、ドイツでのキャンペーンの一部で、プレゼント用の旅行券の広告の一例です。
イースターのマーケティングキャンペーン・期間限定のプロモーション
旅行・観光業以外にも飲食品会社など、多くの企業がイースターに季節限定のプロモーションを実施しています。ヨーロッパ各国のチョコレートブランド、カフェなどがイースターの期間限定で卵・ウサギ・ひよこ等の形をしたチョコレートを販売します。以下イースターの季節限定の商品の事例をご紹介します。
Fererro(フェレロ)
イタリアの有名なチョコレート会社のフェレロは今年、フランス市場で子供向けにイースタープロモーションを開催しています。ウサギ・卵・ひよこなどのイースターを象徴する商品がさまざまあり、華やかで可愛いデザインが子供に好まれることでしょう。
Costa Coffee(コスタ コーヒー)
イースターをビジネスチャンスに活用しているのは小売業だけではありません。イギリス発祥のカフェとして最近日本でも注目を集めているコスタコーヒーでは、イースターの期間限定で「ホットクロスバン」と呼ばれる人気商品を販売します。昨年は店舗とオンラインショップで購入することができる、イースターの贈り物にぴったりな「キットカットギフトセット」や、ホットチョコレート缶とミニ泡立て器をセットにしたギフトセットを発売し話題を呼びました。
Flying Tiger(フライングタイガー)
デンマーク発の雑貨屋で、デザインの可愛いさゆえに日本でも人気のあるフライングタイガーでは、イースターを機に販売されている雑貨や小物がイースター仕様になり、ウサギのプリントがされたトートバッグや、ひよこのマグカップ、デザインが施された卵の置き物が期間限定で販売されます。
最後に
このようにイースターを機に数多くの業界では、さまざまなプロモーション等が打ち立てられています。
近年ではイースターはキリスト教徒のみのお祝いではなく、春の訪れを歓迎したり、新たな始まりをお祝いしたり、多種多様な意味合いを込めてこの休暇を過ごす人が多く見受けられます。
日本でもこれからイースターがさらに浸透していくことでしょう。
イースターについて、またその他ヨーロッパで開催される文化的行事等にご興味がありましたらお気軽にご連絡ください。
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