日本市場で飛躍するiGaming業界|オンラインカジノの成長の秘密
日本のiGaming業界(オンラインカジノ/オンカジ市場)は、これまでに急速な成長を見せ、2022年現在、当該業界での重要なマーケットと位置付けられています。具体的には、2010年頃が黎明期に位置付けられ、欧州系の大手iGaming企業が、日本マーケットに参入し始めました。参入当初は、目新しいサービスということもあり、一部の利用者が利用している程度でしたが、日本のギャンブル文化との親和性やモバイル端末の普及、オンラインカジノ運営元の戦略的なマーケティングアプローチなど様々な要因が後押しし、年を追うごとに順調に利用者数が拡大していきました。2010年後期頃に差しかかると新興企業も続々と参入、さらには2020年頃から、既に日本マーケットにて高いプレゼンスを有していたプレーヤー達が日本市場特化型のプロダクトをローンチするなど、今後の成長を見据えた重要な投資対象となり始めました。
これらのことから、日本のiGaming業界は黎明期から順調に成長期を迎え、世界中のごく一部のマーケットから主要マーケットへと昇華し、今では日本人特有の好みに焦点を当てたローカライズが進み始め成熟フェーズを迎えようとしていると言えるでしょう。
以降から、iGaming業界において、日本市場が重要なマーケットとなるに至ったと考えられる要因について、考察を述べていきます。当記事で取り上げる日本市場成長のキーファクターと考えたポイントは以下の通りです。 各要素については、以降で詳細な考察を記していきます。
– パチスロ市場との親和性
– モバイル端末の普及
– ソーシャルメディアの成長と利用の拡大
– 適切なローカライズ
※前提として当記事で紹介するiGamingは、運営元の企業がカジノを合法とする諸外国に拠点をおいた業態のビジネスを指します。なお、当業界では日本はアンレギュレーテッド、つまり法に明文化されていない未規制のマーケットとされ、上記の業態であっても日本法に抵触するか否かについては議論されております。
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パチスロ市場との親和性
日本はもともと、競馬や競艇、競輪などの公営ギャンブルが盛んなことはもちろんのこと、パチンコ・スロット(通称パチスロ)が日本全国の市民に定着しています。コロナ禍で外出に制限がある状況でも、「DK-SIS白書2021年版-2020年データ-」によるとパチンコ業界の市場規模は総売上14.6兆円と公表されており、日本は世界各国と比べて一際大きな規模のギャンブル市場が潜在していることが伺えます。
このような背景もあり、日本のパチスロ文化はオンラインカジノ業界でも非常に注目されています。その流れを受け日本のパチスロプレーヤーの志向を意識した、オンライカジノのゲームが制作され特に人気を集めています。欧米のスロットにはないパチスロならではの”演出”と言われるゲーム展開のストーリー性や多様性が、オンラインスロットに組み込まれているのです。ただ賞金を稼ぐというだけでなく、エンターテインメントあるいはレジャーとしてスロットをプレイして楽しみたいという、日本人のパチスロ愛好家の欲求を満たす工夫が凝らされているのです。このように元々存在していたパチスロ需要にオンラインカジノ業界が歩み寄り、親和性を高めることでオンラインカジノの利用者を増やしてきたと考えられます。
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モバイル端末の普及
オンラインカジノは名前の通りインターネットに接続した環境、つまりオンラインで利用できるサービスです。そのため、PC端末だけでなくスマートフォンやタブレット端末からも気軽にアクセスできるのです。さらに大部分のサービスが、アプリケーションのインストールも不要で、インターネットブラウザから利用できます。
総務省による令和2年の情報通信白書によると、日本のモバイル端末の普及率は、世帯あたり約96%でさらにスマートフォンは約83%とされています。スマートフォンの普及率は年々伸びている点、さらにオンラインカジノのメイン利用者層20代から50代に絞れば、スマートフォンを所有していない人は、ほぼいないのではないでしょうか。オンラインカジノを利用できる環境が十分に整っている点は、利用者数の急増を後押ししたファクターとなったことは容易に推測できます。
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ソーシャルメディアの成長と利用の拡大
上記モバイル端末の普及に付随する事象ですが、ソーシャルメディアの成長と利用の拡大もユーザーを増やす一因となったと言えるでしょう。日本では、TwitterやYouTubeなどのSNS系サービスがモバイル端末の普及にともない多くの人に利用されています。オンラインカジノのプレイ状況や結果をスクリーンショットし画像やビデオとして記録し、シェアしながらプレーヤー同士で楽しむことでコミュニティが形成されつつあります。ソーシャルメディアというオンライン上で利用者同士が身近に接することできる環境は、オンラインカジノと相性がよくプレーヤーが増えていくのも自然な現象と捉えられます。
また、オンラインカジノの運営企業も、SNSをマーケティング戦略の一環として利用しています。SNS上でキャンペーンを実施し、リツイートによる拡散を参加要件として設定するなど、より多くの人々にリーチできるように工夫しています。
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オンラインカジノの適切なローカライズ
前述したようにオンラインカジノの運営元は、欧州系の企業が占めており、元は欧州マーケットをメインにビジネスを行なっていました。そのため、日本マーケットに対するローカライズ(現地のニーズに対する適応)のレベルは非常に幅が広いです。ただ言語を日本語に置き換えたものから、日本人の好みに合わせたインターフェース、志向を汲み取ったキャンペーン、そして日本人スタッフによる手厚いサポートを完備した適応まで、ローカルのニーズに対する適応レベルはまちまちです。最近では、いきなり入金することに抵抗のある日本人プレーヤーに対して、入金不要ボーナスという、登録するだけで獲得できる無料の特典を配布し、新規利用者を獲得するアプローチが広く利用されています。
言わずもがな、とりわけ日本マーケットで成功しているオンラインカジノは、日本マーケットに対するローカリゼーションは非常にレベルが高く、欧州向けのプロダクトを日本にただ横展開したような新興企業のサービスでは到底とどかない魅力を持っています。概して、日本人のプレーヤーはチャットサポートなどコミュニケーションに関わるサービスに対して高い基準を持っていると言えるでしょう。日本語が通じるだけでなく、気の利いた対応や礼儀礼節をわきまえた応答ができることが高く評価される傾向があります。いわゆる、おもてなしの精神に慣れ親しんできた人々だからこそ、それがないことに対する不安感や不信感を感じやすく、そして逆に、それを満たしていた場合は高い信頼を抱くと言えるのではないでしょうか。何はともあれ、金銭のやり取りが発生するビジネスですので、信頼関係を蔑ろにしては成りたちません。この点では、日本に対するローカライズで得たノウハウが、他のマーケットに対する改善にも繋がるのではないでしょうか。
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