[ビジネスコラム]イギリス市場進出に成功した日本企業事例と成功の分析
へティー・チョン(Hetty Chung)
日本のファッションや文化は世界から注目を浴び、海外から日本への観光客が増え、オリンピックが開催されるなどの要因が重なり、日系企業が海外進出するケースが増えています。この記事では、イギリス市場への進出に成功した日本企業の事例を紹介します。
イギリス市場進出に成功した日本企業の事例
日本のリテールブランドの一覧:
衣服ブランド:Jackman、Issey Miyake、Tabio、Sunny Sider、Uniqlo
家庭用品(生活品)ブランド:Native & Co、和組(Wagumi)
飲食店ブランド:金田家ラーメン、丸亀製麺、一風堂、 Coco一番
他ブランド:無印良品、Kenji(キャラクター系、雑貨)、Japan Craft(工芸品)、Tokyo bike(自転車)、SNOW PEAK(アウトドア用品、キャンプ用品)
ユニクロ
リストで挙げた衣料品店の中で、ユニクロはイギリスでダントツで存在感を示す企業で、合計15店舗を展開しています。ユニクロが海外で事業展開をする際に最初の市場として選んだのがイギリスでした。2001年9月、ロンドンに英国第1号店がオープンしました。他の企業と比較しても、最も手頃な価格で日常的に利用しやすいブランドというマーケティングで進出しました。
海外の人気日本ブランドユニクロは、デザイン性の高品質な洋服をお手頃価格で販売するブランドとして知られています。イギリス人にとって馴染みのあるローカルブランドにも劣らず、幅広いスタイルから購入者は洋服のスタイルを選ぶ事が出来ます。
リストで挙げた衣料品店の中で、ユニクロはイギリスでダントツで存在感を示す企業で、合計15店舗を展開しています。ユニクロが海外で事業展開をする際に最初の市場として選んだのがイギリスでした。2001年9月、ロンドンに英国第1号店がオープンしました。他の企業と比較しても、最も手頃な価格で日常的に利用しやすいブランドというマーケティングで進出しました。
海外の人気日本ブランドユニクロは、デザイン性の高品質な洋服をお手頃価格で販売するブランドとして知られています。イギリス人にとって馴染みのあるローカルブランドにも劣らず、幅広いスタイルから購入者は洋服のスタイルを選ぶ事が出来ます。
ユニクロはマーベルやディズニー、人気ゲームのキャラクターをモチーフにしたシャツや、アンディ・ウォーホルや北斎など、芸術家や画家のデザインを取り入れたTシャツも豊富に揃えています。
Tokyo bike
Tokyo bikeは、2002年に東京郊外、谷中で設立された小さな自転車メーカーです。現在、Tokyo bike ロンドンのインスタグラムに22万9千人のフォロワーがいます。このブランドはオンラインで注文を受けて、世界各地に商品を発送しています。
Tokyo bikeは、日常的に使われる自転車というブランドから、快適性を重視した自転車を販売しています。また、2011年にはロンドンで店舗を開設し、自転車のフルコレクションに加え、アクセサリー、サイクリングウェア・ライフスタイルウェアやハウスウェアの販売を始めました。購入前の試乗や自転車のレンタル、アフターケアのための総合修理サービスなど、商品販売にとどまらず、自転車関係のサービスも提供しています。
イギリスでは、会社からの厚生福利として自転車を社員に購入または貸し出しをする場合があります。Tokyo bikeは、この文化を利用して、”Cycle to Work”というキャペーンを始めました。Cycle to Workでは、通勤に必要な自転車やアクセサリーを最大42%オフで購入することができるキャンペーンです。
スノーピーク
日本のアウトドア&ライフスタイルブランド「スノーピーク」は、1958年に登山家でありアウトドア愛好家であった山井幸雄氏によって設立されました。2019年に英国初の店舗として、ジェント・ストリートにあるセント・ジェームズ・マーケット内にフラッグシップショップをオープンしました。
4,300平方フィートの店舗は3つのフロアに分かれており、スノーピークの日本製キャンプ用品、ギア、ウェアを展示しています。地下には店舗スタッフがデモンストレーションを行うスペースがあり、ユーザーが道具を体験出来るスペースとなっていて、1階にはティー&コーヒーバーが設置されています。
イギリス市場で成功している日本ビジネスの分析
ユニクロ
ユニクロは、ZARAとH&Mに次ぐ世界第3位のファッションブランドです。そして、ユニクロは、ZARAやH&Mのような典型的なファストファッションというビジネスモデルには当てはまりません。むしろ、ユニクロは品質に強くこだわっています。
テックフォーカス – ユニクロは、ウェアを暖かく保つヒートテックや、ウェアをクールダウンさせるエアリズムなど、高技術なファブリックを発明しました。その結果、2003年には全世界で150万個のヒートテック製品が販売され、2012年までには、1億3000万個以上のヒートテック製品が販売されました。これらの高技術素材は、ユニクロのミッションである”高品質なベーシックアイテムの提供”に貢献しています。
インクルーシブ – ユニクロのスローガンである「Made for All」は、その消費者層から明確に表れています。ユニクロの消費者は、あらゆる層、所得レベル、年齢層から構成されています。
サステナビリティ – 近年、消費者はよりサスティナブルな製品やサービスを積極的に求め、環境に配慮した企業に報酬を与えていることが、E.ON社の調査報告書で明らかになりました。
イギリスは、他のどの国よりもリサイクルを大切にしていることが同じリポートからわかりました。この調査から、イギリス人は80%の人が日常生活の中でリサイクルを実践している事がわかり、これに続き、イタリアでは78%、ドイツでは66%とい数字が出ています。
サステイナビリティと言っても、ただプラスチックバッグを減らすだけではありません。ブランドは、商品の生産過程でもサステイナビリティという考えを採用しなければなりません。例えばリサイクル素材を使用することで、いらなくなった衣類をいかに再利用できるか配慮する必要があります。現代の消費者は、サステイナビリティという概念を重視している年代なので、購入にあたってブランドに対しても同じ価値観を求めます。その点、ユニクロはサステナビリティにかなりの力を入れています。DIY衣類修理のガイドをはじめとし、リサイクルされたペットボトルを使用してDRY-EXのポロシャツやフラッフィーフリースを作ったり、動物や環境への影響を最小限に抑えた手法で原料素材を調達したり、イギリスの慈善団体Goods For Goodと協力し、不要になった服を必要としている人たちへ寄付するなど、同社のサステイナブルなアプローチをアピールしています。
デジタルショッピング体験 ユニクロは実店舗の外でも、オンラインアプリでショッピング体験を提供しています。アプリでは商品販売という機能に止まらず、オンライン雑誌として、どのようにユニクロの服を組み合わせられるか、人気の高いコラボレーション商品とは何か、各シリーズのデザインナーやストーリーも掲載しています。このようなコンテンツの配信がブランドの価値と理念を広め、オンラインでもユニクロというブランドの体験ができる場所を提供する事で、顧客とより強い繋がりを構築しています。
ユニクロは実店舗の外でも、オンラインアプリでショッピング体験を提供しています。アプリでは商品販売という機能に止まらず、オンライン雑誌として、どのようにユニクロの服を組み合わせられるか、人気の高いコラボレーション商品とは何か、各シリーズのデザインナーやストーリーも掲載しています。このようなコンテンツの配信がブランドの価値と理念を広め、オンラインでもユニクロというブランドの体験ができる場所を提供する事で、顧客とより強い繋がりを構築しています。
無印良品
無印良品は、1980年に日本で設立され、日用品、レディース服、メンズ服、食品などあらゆる商品を提供しています。イギリスでは、8店舗あり、7店舗はロンドンに、1店舗はバーミンガムにあります。
「無印良品」とは、「ノーブランドの良品」という意味です。素材の選択、商品化プロセス、パッケージングはこのノーブランド良品という基本理念に基づいて実行されています。
素材の選択 – 最適な原材料を世界から探します。工業用材料や、見た目が悪いために捨てられていたものなど、安価で大量に入手できるものを多く使用しています。選定の基準は、常に品質です。これらの活動が、低価格で高品質な商品を生み出す力となっているのです。
シンプルなパッケージ – 英国の消費者の半数は、プラスチック製パッケージを避けるために、より多くのお金を払うと答えています。無印良品はまさにその回答をそのまま取り入れ、シンプルなパッケージを採用しています。それにより廃棄物の削減につながっています。
サステナビリティ -ユニクロと同じようにサステナビリティを重視しています。例えば、セーターの生産に再生ウールを使用したり、繊維製品のリサイクルを行っています。さらに、商品開発の際に独自の製造基準を設けています。例えば、商品の長寿命化を保証し、その結果、商品交換の頻度を減らすことができています。
スマートペイ-無印良品は、英国の全店舗でモバイルセルフチェックアウトソリューションを展開しています。支払いアプリMishiPayの「Scan, Pay, Go」を採用し、無印良品の店舗ではスマートフォンを使って商品をスキャンするだけで、支払いが済ませる事ができ、自由に店舗を出ることができます。これにより、レジに並ぶ事を短縮できます。こういったテクノロジーが顧客のショッピング体験をより豊かにします。
Tokyo bike
Tokyo bikeは「TOKYO SLOW」をコンセプトに、スピードよりも快適性を重視した商品を販売しています。この自転車は、街を楽しむためのシンプルな手段であり、目的地までの旅の楽しみを実現します。
顧客の体験を重視
Tokyo bikeでは、バイクを購入する前に試乗が出来ます。さらに、バイクの組み立てや整備に対する店舗側からの購入後のサポートも手厚です。Tokyo bikeは顧客のニーズへ親密になって、問題に答えます。彼らは常に顧客の体験を重視しています。
素材の選択
Tokyobikeの自転車は、都市生活をテーマにデザインされているため、バイク自体が非常に軽くなっています。他の自転車に比べて、収納に便利な作りになっています。
日本企業がイギリス市場に参入にむけて準備すべきこと
日本企業は自社の理念、コンセプトをうまく伝える上、イギリスの人の好み、そして顧客行動を理解しながらマーケットに進入しないといけません。
オンライン販売
以前の記事でも記載しましたが、特にコロナの影響で、オンラインショッピングや、クリック&コレクトを利用してる人は増えています。
この現象によって顧客のオンラインショッピングに対する期待水準は近年高めっています。そのため、イギリス市場において充実したネットショッピング体験を確保し提供することは今日の市場では必要不可欠な事です。
現地独自の機会を探す
ユニクロはこの事実をうまく利用しています。2021年、テート・モダン(世界最大級の近・現代美術の美術館)とのグローバルコラボレーションを発表しました。2016年にスタートしたテート・モダンとのパートナーシップは、「UNIQLO Tate Lates」として成功を収めました。また、この新しいコラボレーションでは、テートからインスピレーションを得たオリジナルデザインをベースにした初のUT(ユニクロTシャツ)コレクションの共同開発を実現し、来年、全世界での発売を予定しています。
イギリス進出を検討している日本企業は、このようにイギリスだからこそ存在する文化的な機会を見つけ出し、それをイギリス市場進出の戦略にどう活用できるか考えるのも一つの方法と言えます。
ユニクロはこの事実をうまく利用しています。2021年、テート・モダン(世界最大級の近・現代美術の美術館)とのグローバルコラボレーションを発表しました。2016年にスタートしたテート・モダンとのパートナーシップは、「UNIQLO Tate Lates」として成功を収めました。また、この新しいコラボレーションでは、テートからインスピレーションを得たオリジナルデザインをベースにした初のUT(ユニクロTシャツ)コレクションの共同開発を実現し、来年、全世界での発売を予定しています。
イギリス進出を検討している日本企業は、このようにイギリスだからこそ存在する文化的な機会を見つけ出し、それをイギリス市場進出の戦略にどう活用できるか考えるのも一つの方法と言えます。
テクノロジー
この記事で注目した企業は商品開発や、ビジネス運営に上手くテクノロジーを導入しました。高テクノロジーやハイスキルな人材に恵まれている日本企業だからこそ、その環境を生かして、高テクノロジーな商品開発をする事が現地メーカーとの差別化につなげられます。
しかし、国によってそれがどういったテクノロジーである必要であるかがまた異なります。例えば、ユニクロのヒートテックがイギリス人にうけた理由も、イギリスの気候や、イギリスのファッションスタイルを考慮した上での戦略です。ヒートテックをイギリスではない温かい国、またファッションセンスがまったく違う国に出したら、販売数の結果も大幅に下がっていた可能性があります。なので、現地の気候、文化、習慣を配慮した商品開発プランを立てる事が必要になります。
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