ロンドンの“地域おこし”にも貢献!?異色のコワーキングスペース、ペッカム・レベルズを紹介
ウォード 涼子
コワーキングスペースを利用した、フレキシブルな働き方が当たり前になっているロンドン。激化するロンドンのコワーキングスペース市場は、既に飽和状態とまで言われています。私たちがご紹介してきたコワーキングスペースは、ロンドン中心部のオフィス街等に位置するオシャレなオープンスペースという印象があったかと思います。
今回は、そのイメージを覆す異色のコワーキングスペース、ペッカム・レベルズ(Peckham Levels)についてご紹介します!コワーキングスペースを通じた地域再生や、「町おこし」にご興味ある方も必見です。
ペッカム・レベルズ:“町おこし”のイニシアティブとしての役割
ペッカム・レベルズの成り立ち
ペッカム・レベルズは、1970年代に建てられた、もともとスーパーの駐車場だった部分を改装することによって生まれました。それ以前は空き家になり見捨てられ、駐車場ではドラッグの密売や売春・買春が行われていたと言います。
そういった地域の治安にも関わる、当施設のより良い利用を促進するため、ペッカム・レベルズが位置するサザーク(Southwark)のカウンシル(ロンドン市内南部にある地方行政)が新しい提案を募りました。様々な建築家、起業家、地域グループの応募の中から、メイク・シフト/Make Shiftとカール・ターナー/Carl Turner Architectsのコラボ提案が採用され、2015年11月にペッカム・レベルズが契約を勝ち取り、2017年12月にオープンしました[1]。
もともとあった駐車場としての構造をほぼそのまま利用しており、低コストでの改装を可能にしています。
ペッカム・レベルズの構造・雰囲気
ペッカム・レベルズは、全6階建てで、1~4階はメンバーのみが利用できるフロア、5・6階には一般の人も利用できるリテールやレストラン、音楽ライブ等が行われるイベントスペースなどが入っています。
ペッカム・レベルズを利用するメンバーは、音楽アーティスト、デザイナー、メディア関係などクリエイティブ系の職種が多く、コワーキングスペースだけでなく彼らのニーズに合わせた、モノづくりに適した個別のスタジオやオフィスが利用できるようになっています。スタジオは全部で50あり、最多で合計60人のメンバーが利用することができます。
こうしたペッカム・レベルズの存在が、地域住民に楽しいサービスや憩いの場を提供するだけでなく、地域に新しいビジネスを呼び寄せ、雇用創出しているという面からも“町おこし”に貢献していると言えます。
ユニークなのにリーズナブル!コミュニティに根差したコワーキングスペース
ロンドンの他のコワーキングスペースと比較したうえでのペッカム・レベルズの特徴は、その価格帯にあると言えるでしょう。以前私たちが紹介したコワーキングスペース利用料金と比較してもその差は一目瞭然です。特に、個室であるスタジオは、約£260という安さです[2]*。
地元住民であるペッカムの居住者であれば、そこから更に値引きされた値段で利用できる可能性があります。ペッカム在住者で、レンタル料を払うことが難しい人のために10のスタジオを通常価格の65%オフで貸し出しています。
コミュニティに根差したコワーキングスペースをモットーとするペッカム・レベルズは、このように地元住民のベネフィットを優先する取り組みを行っており、実際メンバーの約75%はペッカム在住者とのことです。(2018年5月24日現在)
まとめ
古い駐車場を利用したコワーキングスペース、ペッカム・レベルズをご紹介しました。地域への還元を重視したユニークな施設と言えると思います。
弊社東京エスクでは、今回ご紹介したようなコワーキングスペースの現地視察コーディネートのお手伝いを行っております。実際に足を運び体感して初めてわかることが多いといったお声を頂いております。
また、現地へ行くことが難しいという方にも、弊社による現地調査や担当者・エキスパートへのインタビュー調査等もご利用頂けます。ご興味のある方は、お気軽にご連絡下さい。
参考リンク
[1] https://www.peckhamlevels.org/about [2] https://www.peckhamlevels.org*シングルスタジオの値段、2018年5月24日現在のシングルスタジオの値段です。ダブルスタジオやオフィスのレンタル料金など、最新の詳細情報は直接ペッカム・レベルズへお問い合わせ下さい。
東京エスクはロンドンを拠点とするマーケット・リサーチ・エージェンシーです。弊社は日本のビジネスがヨーロッパのマーケットに、ヨーロッパのビジネスが日本のマーケットに進出するのをサポートいたします。
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