【ヨーロッパの働き方事情 #1】オランダのワークスタイル・ワークライフバランスの魅力
野本 菜穂子
世界中で猛威を振るっているコロナウイルス。これまで「働き方改革」の動きで奨励されていた在宅勤務といったフレクシブルワークを、素早いスピートで実施しなければいけない状況になっています。
このような現状の中、もともとフレクシブルなワークスタイルが主流な北欧やその他ヨーロッパ地域では、自宅勤務にスムーズに移行しています。
弊社では、これまでに様々な日系企業様向けに欧州のワークスタイル調査、コワーキングスペースリサーチや視察ツアーを企画・実施してきました。
新しい働き方がこれまでにないほど必要とされている今。世界でも最も「健康的」な働き方をしているオランダ、デンマーク、フィンランド、スウェーデンノルウェーなどの働き方を、連載でご紹介していきます。本記事では、まず弊社の拠点もあるオランダからご紹介していきます。
1. オランダのワークスタイルの特徴
2016 年の OECD(経済協力開発機構)レポートで「最もワーク・ライフ・バランスがとれている国」として世界第 1 位にランクした国、オランダ。
本国では、2000年という早期から正社員とパート社員が同じ権限を持つことなどを許可したり、勤続年数が1年以上の従業員は労働時間の延長や短縮、勤務場所の変更(自宅など)の申請を許可しています。
また、2020年より父親や同性カップルの母親も、産後半年間の間に5週間の有給産休をもらえることにもなり、フレクシブルなワークスタイルやジェンダー平等性においても世界で最も進んでいる国の一つです。
新型コロナウイルスの影響で、すでにフレキシブルワークが浸透しているオランダでも、これまで在宅勤務をしてこなかった人も、リモートワークをする機会が増えました。そこで、Knowledge Institute for Mobility Policyが実施したアンケートでは、リモートワークに転じた人の27%は、アフターコロナも自宅勤務を続けると答えています。また、同調査によれば、3割以上の人がリモート会議をもっと増やしていきたい、という意見を示しています。
2. イノベーティブな働き方として注目のオランダ企業・機関
ここでは、先進的な取り組みをしているオランダの企業や機関をご紹介します。ヒアリングやケーススタディーの対象、またコロナ収束後には視察先としておすすめな場所をピックアップしました。
2.1 Ministry of Social affairs and employment(社会労働省)
労働時間、給与と平等、職場での安全や健康などを司る省。ライフワークバランスやフレキシブルワークといった働き方改革の方針はここで決められています。またここがコミッションしている政府機関、UWV (Uitvoeringsinstituut WerknemersverzekeringenまたはEmployee Insurance Agency)は労働にまつわる保障や人権についての施策を実行しています。
2.2 OVG Real Estate / The Edge (ジ・エッジ)
イノベーティブなワークスペースとして有名なThe Edgeをデベロップした不動産・建築デザイン会社。スローガンは「A World Where Life Comes First」で、健康な仕事場、そしてライフスタイルをつくることがカンパニーミッションです。
The Edgeは欧州で最高レベルのオフィス環境を実現しており、数々の賞を受賞しているオフィスビルです。健康な仕事場、そしてライフスタイルをテーマとしたハイテクオフィスとして知られています。
2.3 ING(アイ・エヌ・ジー銀行)
アムステルダムに本社を置く多国籍銀行。銀行として世界初の「Agile Way of Working」(フレキシブルな働き方)を採用。2012年という早期から、勤務時間や場所を従業員が自ら決定できる制度が実施されています。
取り組み紹介の動画はこちら(英語のみ)。
2.4 Heldergroen(ヘルダーグロゲン)
アムステルダムを拠点とするデザインスタジオ。6時になると自動的にオフィスデスクが収納されるデザインを導入したことで採用当初は話題になりました。
2.5 De Ceuvel(デ・クーベル)
アムステルダムにて、2014年公開。陸上げされた17の中古のハウスボートが設置され、ワークスペース、オフィススペース、サステナブルカフェ&レストラン、イベント&レンタルスペース、水上B&Bなどが集まった場所。建築家、デザイナ一、エンジニア、学者、スタートアップなど多様な人材が集まるスペースです。
現場は「クリーンテック・プレイグラウンド」というコンセプトのもと、すべて地球に優しい方法で管理・運営されています。建築事務所Space&Matterによるデザインで、数々のデザイン賞を受賞しています。
詳しくは過去にリリースした記事「世界をリードするオランダのサーキュラーエコノミー先進事例【DE CEUVEL/BLUE CITY/NDSM】」をご参照ください。
2.6 ASICS EMEA Headquarters(アシックス・ヨーロッパ本部)
アムステルダムにて、2019年5月公開。「A Sound Mind in a Sound Body」というモットーのもと、ワーカーの心身のウェルネスに重きをおいたデザインやサービスを盛り込んでいます。
WELL Gold & LEED Gold certificationsの基準をクリアし、FRAME AWARDS 2019にも受賞しています。
3. まとめ
オランダの働き方や、フレクシブルワークを採用している企業について、どう思いましたか?
弊社では、日本の「働き方改革」の参考になるような欧州の国々における調査レポートや視察ツアーを行なっています。サービス業、建築、IT、など分野を絞ってのリサーチも行なっています。
世界を先導するこれらのワークスタイルが、どのように生まれたのかを、具体的な施策やカルチャー、そして北欧のマインドセットから多角的に探ります。ご関心のある方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
また、海外渡航が可能になり次第、視察ツアーも再開いたします。調査先のリストアップ、訪問先へのアポ取り、当日の同行・通訳、背景調査などワンストップで提供しています。ご関心のある方はこちらのリンクをご参照ください。
次回の連載では、デンマークの働き方についてご紹介します!お楽しみに。