【前半】【2020年最新版】注目のイギリススタートアップ厳選!
小林 エリサ
スタートアップ大国として、まだまだ勢いを見せているイギリス。幅広い数の中から、2020年最も気になるイギリススタートアップを東京エスクがピックアップ!
(後半はこちらから)
イギリススタートアップ市場はまだまだ伸びている!
イギリスは、アメリカ、中国に次ぎ、総計72社のユニコーン企業(企業価値評価額が10億ドル以上)を輩出した実績のある、ヨーロッパ最大のテックハブです。ベンチャーキャピタルによるテック企業への投資額は2019年1月―7月の7カ月で欧州最大の67億ポンド(約8700億円)とすでに昨年の投資額を上回っており、スタートアップの段階を超え「スケールアップ」したテック企業の成長率は世界最大の56%増を記録しています。
また、EU離脱による経済への打撃が懸念されたイギリスであったが、新規のスタートアップ数とスタートアップへの投資額は増加傾向にあり、今後もますます伸びて行くことが期待されています。
イギリスでは例年と変わらずフィンテックが勢いを見せているものの、コロナ禍を契機に、FemTechやEdTech、CleanTechといった、SDGsや持続可能性を意識する新たなスタートアップ分野が話題をよんでいます。
今回の記事では、前半と後半に分け、各カテゴリごとに注目されているスタートアップをご紹介していきます。(後半はこちらから)
1. イギリススタートアップ: フィンテック/FinTech
マネーボックス/Moneybox
事業内容:2016年設立。自社のトラッカーファンドを介し、わずか£1からAmazon、Netflix、Apple、Nintendo、Unilever、Disneyなどの大手企業へ投資できるアプリ。ユーザーがデジタルバンクの口座をMoneyboxと繋げると、口座を使用するたびにアプリが自動で使用額を最も近いポンドまで切り上げ、差額をそのまま自動投資。例えば、£2.50のコーヒーを購入した場合、アプリは使用額を£3.00とし、差額の£0.50をユーザーが指定した投資先へ自動課金。手間と負担を削減する事で、経験がまったくない人でも投資を手軽に始められる。
資金調達総額/ラウンド:6000万ドル/Series C
企業価値評価: 1億5000万ドル〜2億1000万ドル(2020年7月時点)
ツルーレイヤー/TrueLayer
事業内容:2016年7月設立。顧客の口座情報を、オープンAPIによってアクセスが許可されている企業や機関に提供できるサービス。例えばユーザーが新しい銀行口座を開設した際に、企業は独自のインテグレーションを設計しなくてもユーザーのデータへアクセスする事ができ、コストと時間を大幅に削減できる。
資金調達総額/ラウンド:4680万ドル/Series C
企業価値評価: 1億4000万〜2億1000万ドル(2019年6月時点)
モンゾー/MONZO (モバイルバンキング)
事業内容:2015年設立。出費を自動的に記録するのをはじめ、シンプルなP2Pトランズアクション、ユーザーの節約の支援までしてくれるモバイルバンキングアプリ。ビジネスインサイダーUKのランキングでも群を抜いて一位のユニコーン企業。
資金調達総額/ラウンド:5億6000万ドル/Series G
企業価値評価:16億ドル(2020年6月時点)
トランスファーワイズ/Transferwise
事業内容:2011年設立。レートや手数料を最大限におさえた海外送金サービス。今まで3〜4千円かかっていた手数料が、数百円程度の少ない手数料になり、個人・法人両方で海外送金が可能になった。ユニコーン企業。
資金調達総額/ラウンド:4億2000万ドル/Secondary
企業価値評価: 35億ドル(2019年5月時点)
レボルト/Revolut
事業内容:2015年設立。現在世界中で1,000万人を超える顧客を抱えるRevolutは、従来の銀行に代わるデジタル・バンクとして2015年7月に設立されたオンラインバンキング先駆者。海外送金や引き出しの低い手数料やその他様々なベネフィットを提供し、プレミアム会員に登録すると高い金利の貯蓄口座等も提供している。 2019年には前年と比べユーザー数は169%増加、1日のアクティブ・ユーザー数は380%増加し、収益は354%もの増加を見せている。ユニコーン企業。
資金調達総額/ラウンド:8億8000万ドル/Series D
企業価値評価: 35億ドル(2020年2月時点)
2. イギリススタートアップ: 不動産テック/PropTech
プーピル/Pupil
事業内容:起業家のJames D. Marshall、Oliver Breach、David Mullettによって2015年に設立。Pupilは、エンタープライズソフトウェアとAIアプリケーションを組み合わせた特許申請中の「デジタルツイン技術」によって、ビルやその他物件の「スペックを可視化」。2019年6月に初めてのシステム、Specをローンチ。Specの革新的なAIテクノロジーは、ビルや住宅といった資産の価値と収益性を素早く、そして正確に特定する事が可能に。不動産事業の新しい常識として話題をよんでいる。
資金調達総額/ラウンド:2800万ドル/Series A
企業価値評価:6000万ドル〜1億ドル(2020年3月時点)
ヨーパ/Yopa
事業内容:2015年設立。YOPAは、ユーザーの不動産売却プロセスを全面サポートする、不動産仲介のオンラインプラットフォーム。 物件の価値評価から、広告の確認、購入オファーの管理まで、全てのプロセスをプラットフォーム上で一元化。
資金調達総額/ラウンド:1億ドル/Series D
企業価値評価: 1億ドル〜1億5000万ドル(2018年8月時点)
プレンテフィック/Plentific
事業内容: Plentificは、2012年に設立された物件マネジメント・プラットフォーム。物件を所有する上での作業を全てオンラインで管理する事で、修理およびメンテナンスのコストが削減でき、より透明性の高い優れた管理が可能に。また、テナントに対してもフロントエンドを提供し、今まで手間のかかった修理の要求やその他手作業で行われていた書類手続き等を全てデジタル化する事で、テナント・エクスペリエンス(テナントの体験価値)向上を目指す。更に、承認されたテナントと物件所有者とを繋げるサービスも開始。賃貸のプロセスを全面的にサポートするアプリです。
資金調達総額/ラウンド:4000万ドル/Series B
企業価値評価:1億1800万ドル〜2億ドル(2019年11月時点)
3. デジタルセキュリティ/Digital Security
テシアン/Tessian
事業内容:2013年設立。機械学習を利用してメールのセキュリティを改善。システムは企業顧客のメールシステムを監視し、データの漏れや損失、フィッシングや変造メールを素早く検出し、送信の前に従業員にメールで警告するサービス。
資金調達総額/ラウンド:5200万ドル/Series B
企業価値評価:1億6000万ドル〜2億4000万ドル(2019年1月時点)
スニック/Snyk
事業内容:2015年設立。Snykは、データ・ドリブン事業のシステム開発と安全性維持をサポートする、デベロッパー主導のデジタルセキュリティ会社。オープンソース・ディペンダンシーとコンテナ・イメージの脆弱性及びライセンス違反等を迅速に検出し、修正することのできる世界唯一のソリューション・システム。セキュリティ・チームはロンドンとイスラエルのエキスパートによって管理されている。
資金調達総額/ラウンド:3億ドル/Series C
企業価値評価:10億ドル(2019年1月時点)
エリプティック/Elliptic
事業内容:2013年に設立。世界中の企業や金融機関に仮想資産のリスクマネージメントの為にソリューション・システムを提供し、仮想通貨取引きのリスクを軽減する新しいサービス。金融機関や法執行機関はEllipticを使用し、ブロックチェーン上の不正行為を特定、実用的なインテリジェンスを得る事ができる。
資金調達総額/ラウンド:3200万ドル/Series B
企業価値評価:1億ドル(2020年2月時点)
4. イギリススタートアップ: モビリティ/Mobility
アライバル/Arrival
事業内容: 2015年、ロンドンで設立。電気自動車(EV)を専門とするハイテク企業であり、コスト、設計、効率の点で既存の電気自動車を超える、「次世代電気自動車」を開発。今年初め、Arrivalテクノロジーを使用してモビリティサービスの開発に挑んでいるHyundaiとKiaが1億ユーロを投資し話題に。
資金調達総額/ラウンド:1億2000万ドル/Early VC
企業価値評価:11億3000万ドル(2020年1月時点)
ウェアイズマイトランスポート/Whereismytransport (WIMT)
事業内容: 2015年設立。新興国でのモビリティサービスやMaaS事業開発を目的としたプラットフォーム事業を展開。2020年3月に、豊田通商との資本業務提携を発表。
資金調達総額/ラウンド:1330万ドル/Series A
企業価値評価:3000万ドル〜4500万ドル(2020年3月時点)
シティマース/CityMaaS
事業内容:2018年6月設立。リアルタイムでユーザーの移動傾向や特徴のデータを自社開発のAIが分析・記録することで、個人個人の特定のニーズにあった最適な移動手段を提案(例えば車椅子が必要なユーザーの場合、最適なバリアフリーのルートを提案するなど)。更には、交通手段の予約から支払いまで対応する画期的なモビリティアプリ。
資金調達総額/ラウンド:不明/Seed
企業価値評価:不明
フライナウ・ペイレイター/Fly Now Pay Later
事業内容:2015年、Jasper Dykesによって設立。Fly Now Pay Laterは直訳すると「今飛んで後で支払う」という意味で、アプリを通して航空チケットを予約すれば、年率0%で1〜12か月にかけて支払いを分散することが可能。
資金調達総額/ラウンド:5000万ドル/Series A
企業価値評価:1億8000万ドル〜2億6000万ドル(2020年5月時点)
5. イギリススタートアップ: AR/VR
インプロバブル/Improbable(AR・VR)
事業内容:2012年設立。莫大なバーチャル・シミュレーションワールドを提供するシミュレーションスタートアップ。クラウドコンピューティング、ゲーミフィケーションを中核にするユニコーン企業。
資金調達総額/ラウンド:6億3300万ドル/Secondary
企業価値評価:20億ドル(2018年7月時点)
ファンダメンタル・VR/FundamentalVR
事業内容:2012年設立。主に医療に関わるVR技術を開発。最も代表的な製品であるFundamental Surgeryは、手術をVR技術で再現し、トレーニング用のシミュレーションを提供するプラットフォーム。 独自のハプティックス・システムを活用し、抵抗、質感、圧力等を忠実に再現。医学生の為のトレーニング用ホログラフ技術も開発している。
資金調達総額/ラウンド:960万ドル/Series A
企業価値評価:2000万ドル〜2900万ドル(2019年10月時点)
まとめ
フィンテック以外にも様々な個性豊かなスタートアップ、べンチャーが多いのがロンドン。来週掲載する後半では、EdTechやFoodTechと言った、今話題のカテゴリで注目のスタートアップをご紹介します。お見逃しなく!
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