新型コロナウイルスに負けない!イギリスの飲食店業界のサバイバル術
ウォード 涼子
衰えを見せない新型コロナウイルス。日本でも最近緊急事態宣言がなされるなど、先行きが不透明であることは否めません。イギリスでは、3月に「ロックダウン」、いわゆる都市閉鎖が宣言され、イギリス人の愛してやまないパブをはじめ、その他飲食店は全て閉鎖となっています。それでも、テイクアウトやデリバリーは現時点では許されており、新型コロナウイルスの影響で大打撃を受けながらも、イギリスの飲食店業界は新しい活路を探っています。本記事では、そのイギリスの飲食店の工夫について、いくつかの事例をご紹介します。
1. ドライブスルーでジン&ビール提供
ロックダウン中のイギリスでは、在宅勤務が出来ない場合の通勤、一日一回の運動、食品など生活必需品の買い出し以外は、外出は基本的に禁止されています。食品の買い物も、店は入場制限がある場合がほとんどで、外で待つ人達も、お互いから2メートル以上の距離を空けるという徹底ぶりです。
そういった感染を防ぐためのルールが厳しい中で、イギリスのSalford(イギリス北部・マンチェスター近く)に店を構える、The Seven Brothersというビール会社は、ドライブスルーで商品を提供するというユニークな販売方法を実施しています。他のスーパーなどで見られるような、長い行列で長時間待ったり、その間人との接触を恐れたりする必要なく、待機や支払いなども安心して車内からすることができます。
The Seven Brothersは、家族で経営している小規模ビジネスですが、このような工夫によって現状を生き残ろうとしています。
2. ワインとチーズは自主隔離を生き残るための必需品?
新型コロナウイルスの影響による逆境を、クリエイティブなマーケティング方法に活かしている飲食店もあります。その一つが、ロンドンで移動車販売をしている、The Cheese Truckです。The Cheese Truckは、ロックダウンで自宅で自主隔離しているロンドン人に対し、
『自主隔離サバイバルキット(チーズ、ワイン、食肉加工品、など)を販売中。ロンドン市内デリバリーします』(The Cheese Truckのツイートより、筆者翻訳)
とツイートし、思わず「チーズやワインがサバイバルキット?」という声や、クスッとした笑いを引き出しそうなブランディング方法を展開しています。苦境でも遊び心を忘れない、イギリスらしさが出ている戦略と言えるかもしれません。
3. カクテルを無料で玄関先まで!
ザ・ランガム・ロンドン(The Langham Hotel)のAretesianというバーは、飲食店がが苦境を強いられている中、なんとカクテルを無料でデリバリーするというサービスを展開しました。ザ・ランガム・ロンドンは、1865年創立の老舗5スターホテルで、ロンドンで最も有名なホテルの一つです。
ロックダウンの発表を受け、当ホテルは、「当業界の関係者として一つになることが、このパンデミックを生き残る唯一の方法」とした上で、このようなユニークなサービスに踏み切ったとしています。本サービスは一定期間のみ提供されました。
AretesianのマネージャーであるAnna Sebastian氏は、「(パンデミックは)お客様との関わり方や、エクスペリエンスの創造方法など、ホスピタリティー業界に関するルールブックを書き換えるチャンスとして、ポジティブに捉えています。」とインタビューで発言するなど、逆境を、新しいサービスを生み出し、業界全体をブランディングし直すチャンスとして前向きに捉える姿勢が伺えます。
4. ユニークな配達員
外出自粛の中、多くの飲食店がデリバリーに力を入れていますが、ロンドンのBISTROTHEQUEというレストランは、デリバリー方法に一工夫することで、他と差をつけています。
その内容とは、ドラァグ・クイーンであるA Man To Petを配達員とすること!プロのパフォーマーであるドラァグ・クイーンが配達員になることで、デリバリー自体をエンターテイメント化し、他のレストランとの差別化に繋がっていると言えます。
まとめ
新型コロナウイルス、パンデミックが原因で、イギリスの飲食業界も大打撃を受けていることに間違いはありません。しかし、本ブログでご紹介した通り、様々な工夫を凝らすことによって生き残りを図っています。弊社の過去ブログでも紹介した通り、Deliveroo(デリバル―)、Uber Eats(ウーバーイーツ)などのデリバリーサービスが大成長していることからも、イギリスの飲食店のセールス方法がシフトしてきていることが分かります。
弊社東京エスクでは、新型コロナウイルスの影響で起こっている様々な業界の変化、トレンドについて調査、レポート作成などを承っております。お気軽にお問い合わせ下さい。