
イギリスのミレニアル世代ー特徴、消費行動、日本との違い
野本 菜穂子
よく耳にするミレニアル世代とは、2000年代に成人、または社会人になる世代のことです。めまぐるしく発展するデジタルとともに成長し、またグローバルな金融危機も目の当たりにし、自身の親とのギャップが最も大きい世代と言われています。
ミレニアル世代とは?
また、2020年には、世界の労働人口の3分の1以上がミレニアル世代になるといわれています。イギリスでは全人口の25%がミレニアル、日本では2013年の時点で28%といわれています。高齢化が心配されている一方、世界人口は増加しつつあり、結果的にミレニアル世代は大きな層を占めることになるでしょう。
今一番若いミレニアル世代が社会人になり、全体の世代の購買欲も底上げされ、今後新しいマーケットのビジネスチャンスとなります。今回の記事では、日本とイギリスのミレニアル世代の共通点・相違点を、消費行動を中心にみていきます。

特徴:日本とイギリスの共通点
代表的な特徴
この2カ国に限ったことではありませんが、日本とイギリスで特に共通している代表的な特徴は、以下のような点があげられます。
- より多様性・個人性を重視する:「ユニークさ」「イノヴェーション」などをキーワードに、常に新しい思想を求めて、生み出すことが良いという風潮がある。
- リベラル思考:新しい仕事・結婚・親子のかたちに柔軟。また、EU離脱をめぐるイギリスの選挙では18-24才の投票者のうち 75% がEU離脱に反対している[1]。
- 選挙に消極的:日本でも問題に時折なっているが、イギリスでも落ち込んでいる[2]。
- 社会人になる年齢の後退:イギリスでは、1984 から 2013の間で、大学卒の数は2倍[2]に。
- 好みのSNSの違い:Facebookよりも、InstagramやsnapchatなどビジュアルでよりパーソナルなSNSが好まれる。
などがあげられます。
消費行動
日本とイギリスで共通しているのは、まず前世代のジェネレーションXよりも収入が少ないことです。イギリスでは、ジェネレーションXの同年代の人に比べ、£8,000少ないといわれているほどです[2]。またジェネレーションXが同年代だった頃に比べ、ミレニアル世代は25%多くパートタイムの仕事をしています。
金銭的余裕があまりないミレニアル世代は、安く、かつ一人一人のニーズに合ったものを求める傾向にあります。結果として出費を抑え、シンプルな生活を目指しながらも、コストパフォーマンスがよく、効率がいいものを選んでいくようになります。
店内でスマホを使いながら買い物することは、よくあげられる特徴です。より安価な商品をネットでなんらかのメディアを通してデジタルに触れてながら買い物をすることが日英で共通しています。
特徴ー日本とイギリスの違い
一方、日本とイギリスで消費行動に違いが多少あります。
食品・服
アメリカほどではありませんが、イギリスの消費者はエシカルに重点をおいています。環境、動物などの側面で、よりサステイナブルで安全なものを好みます。食品、服までビーガンのものが多く、例えばDr.Martensのビーガンシューズや、オーガニックショップの展開、eCoverというオーガニック洗剤や、Laveraの化粧品のラインアップなどが主流になってきています。
旅行
LCC線が発達してきたおかげで、海外旅行も手軽にできる世の中になりました。そんな中で、日本人のミレニアルは「過去1年以内に海外旅行をしていない」人が58%で、日本は「世界で一番旅行をしない」国として一位でした[3]。一方、国内旅行は多くみられ、旅行好きなのはイギリスと変わりません。ただ、お金がないので安く、また仕事や学校の都合もあり、短く旅行に行くのが好まれます。
一方、イギリスでは海外旅行はプライオリティがとても高いことが特筆されます。マーケットリサーチ会社Gfkによれば、自身の家や車を購入するための貯金より、海外旅行にお金をかける傾向があるとされています[4]。
住まい・家
住まいに関してもイギリスと日本では結構状況が異なります。
UK MILLENIAL SURVEYによれば、80%のミレニアル世代は収入で家賃を賄うのが難しく、41% は親の家に住んでいます[5]。また、72% は家を購入することでライフスタイルが何らかの形で犠牲になるとおもっています。なので、イギリスではまず特に家(フラット)のシェアが主流で、特にロンドンでは1人暮らしはまれです。フラット探しのオンラインプラットフォームも随分と整っています。キッチンやトイレ・シャワーは共有で、家電や家具は協力して購入したりします。
東京を中心に、日本でも家賃は厳しいことは変わりないです。一方、日本ではシェアハウスよりも一人暮らしが圧倒的に多く、家具や家電は自分で購入し、自分だけで使うことがほとんどです。
ジェネレーションZとは?
特徴
最後に、ミレニアル世代の後の世代、ジェネレーションZについて軽く触れたいと思います。ここでは日本とイギリスとの比較、というより特にイギリスでのジェネレーションZに焦点を当てたいと思います。
ジェネレーションZは2000年前後に生まれ、「モバイルネイティブ」、ポストミレニアル世代とも呼ばれます。
よりデジタルで速度を好み(例えば、送料無料よりも、即日受け取りを好む)、前世代よりも収入が少ないのに、他の世代に比べ60%ももっと「衝動買い」をする傾向にあるというデータまであります。
ミレニアル世代との違い
アクセンチュアのレポートによると、ミレニアルより店内販売員と交流し、店内でスマホなどを使って他店舗と比較、 セルフサービスも使い、ミレニアルよりも、友達のすすめや口コミに影響されやすいことが分かります[6]。ライク数やYoutubeのブロガーの意見を指標にする傾向が強いことが特徴だと言えるでしょう。

例えば、最近日本の樹海自殺の映像投稿が問題になった米ユーチューバーのローガン・ポール氏。10代のジェネレーションZから非常に支持率が高く、チャンネル登録者数は1500万人以上です。そんななか、「商品を買おう」”Buy that Merch”というラップ調のミュージックビデオはジェネレーションZから大反響で、ビデオ自体が独自商品(=’Merch’)の販売広告となっています。ユーチューバーは、このジェネレーションにとってかなりのステータスがあり、流行の指標や価値判断の基準ともなっています。
さいごに
ミレニアル世代、そしてジェネレーションZが今後大きな消費層となる中で、刻々とビジネスチャンスも変化しています。共通点は多いものの、イギリスと日本でも少なからずの相違点があります。海外でビジネスを展開する際には、これらを参考にしてみてください。
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