イギリスのECファッショントレンド一覧

 出典:  ian dooley  on  Unsplash

出典: ian dooley on Unsplash

1. イギリスのECファッション最新傾向

SNSやモバイルアプリ、AIなどが急速に発展している中、これらの力をかりて刻々と進化していくファッション業界。

本記事は広いEコマース業界の中でも、特にファッション・アパレルに特化してイギリス国内のトレンドについてお伝えします。

1.1 クリック&コレクト/Click & Collect

出典:Topshop

クリック&コレクト(Click & Collect)とは、オンラインで注文して、自宅や職場近くのコレクションポイントで注文物を受け取るサービス。日本でもコンビニ受け取りは存在するが、コンビニが普及していないイギリスでは、実店舗や郵便局だけでなく、スーパー、ロッカー会社など様々なところがコレクションポイントとして機能する。

また返品や交換なども同じで、指定のコレクションポイント(スーパー、郵便局など様々なところで扱っている)持っていけば多くの場合は送料無料で返送できる。

(例)大手ファッションリテールショップASOS(エーソス)では、このようにお届け先として「自宅」と「クリック&コレクト」が並列されて表示されるほど。
(例)コレクションポイントも簡単に検索できる。弊社オフィスの近くのコレクションポイントを検索すると、これだけある。

また、クリック&コレクトは、ファッションだけでなくフードや電化製品など、ほぼ全ての業界において普及しているとても人気な受取方法である。

1.2 トライ・ビフォー・ユー・バイ/Try Before You Buy

出典:Priscilla Du Preez on Unsplash

これは文字通り「買う前に試着する」ということで、商品を選ぶだけ選び、支払いをせず玄関先まで届けてくれるサービス。 気に入ったものだけを支払い、残りは返送するという夢のようなサービスとして注目を浴びている。前述のMetaPackの同調査によれば、57%の人がこのサービスを使いたいと回答している [1]

ファッション業界ではASOS、JD SPORTS fashion、Topshopなどが展開中。 ちなみにファッション以外でも、Amazon.co.ukやIkeaなどの大手リテーラーもやっている。ただ、この手法はファッション業界が一番効果があるとのこと。

PracticologyのコンサルタントBeata Roos氏によれば、ファストファッションの購入層は10代〜30代と若く、経済的に余裕がない世代にとって後腹は非常に魅力的であるという見解がある。

また、ファストファッションは価格帯もその他プロダクト(家具、家電、食材など)よりも低いため、人々は高頻度でリピートする傾向にあるという。

なにより、前述したように、「より早く、便利に」を求めるミレニアル世代は、まるで試着室にいるようなリアルタイムのショッピングエクスペリエンスが魅力的であると言える。

1.3 サブスクリプション・ボックス

出典:Maarten van den Heuvel on Unsplash

サブスクリプション・ボックス(以下、サブスクボックス)は日本にもよく見るようになった、商品がカスタムセレクションされたいわゆる“定期便”のこと。

ファッションだけでなく、化粧品、食品、アート、手芸などさまざまな分野のサブスクボックスをイギリス人は購入しています。2018年6月の時点で、イギリス国内のファッションサブスクボックスの年間売上が5億9700万ポンドに達した。イギリスの全人口の16%が何かしらのボックス定期便に登録していることが明らかになった[2]

ファッションECのサブスクボックスの特徴は、「サプライズ」要素があること。

例えば、デザイナーによるチョイスが毎月送られてくることは、ワクワクするうえ、自分では選ばないようなスタイルのものも入っている。 実際、イギリスのサービス利用者の6割以上の人が、購入している理由について「郵便にサプライズがあるのが嬉しいから」と答えている[3]

ファッションのサブスクボックスにおいて特筆すべきなのは、男性の利用が過半数とのこと。これはイギリス発のスタートアップThreadというサブスクボックスサービスにも現れているように、ウィメンズに先立ってメンズラインが準備されている[4]。実際にお店に足を運ばすとも、おしゃれをしたい男性から支持されている。

出典:https://www.thread.com/signup/introduction

また、カナダ発のFrank and Oak社によるStyle Planというサービスなどは、Try Before You Buyサービスと掛け合わせ、サブスクボックスに届いたものから、気に入ったものだけをキープするという非常にリーズナブルなオプションも展開している[5]

イギリスにおいては、化粧品やフードといった定番のものから、ペット用グッズから女性の生理用品まで、本当にユニークなサブスクボックスが展開されています。一方、ファッションにおいては、イギリス発のものはまだまだ伸び代がありそうです。ファッション系のサブスクボックス購入者は、他ヨーロッパや北米から多く頼んでおり、海外からボックスを頼むことに抵抗がない人が多く見受けられる。

1.4 計測モデル

最近ZOZO TOWNの計測スーツが話題になりましたが、イギリスでも似たようなカスタムテーラーを行なっているSPOKEというサイトがあります[6]。 会員登録をすると、自宅にメジャーが送られてくる仕組み。

出典:https://spoke-london.com/

ここでは、体重、身長といった基本情報だけでなく、「普段はスリムなスタイルがお好きですか?」「以下から自分の体型を選んでください」「腕時計をする時、ベルトの穴はきつめですか?」など、細かい質問に答えたのち、自分にあったサイズをカスタムメイクしてくれる。

もちろん送料も返品も無料。


オーダーメードという観点からは、服のデザインをカスタムで微調整できるソフトウェアプラットフォーム、Unmadeもある。2013年設立のスタートアップ(当初はKnyttanという名)。ファッションブランドサイトで、ドラッグしながら柄の場所を調整したり、メニューで色を変えたりできるサービスを提供。

ただカスタマイズ可能というだけでなく、オーダーメイド式にすることで供給が需要を上回らない仕組みになっており、持続可能なビジネスを生み出している。

2. ECリテーラー事例

2.1 イギリス最大のリテーラー、ASOS(エーソス)

2018年3月時点、イギリスにおける最大のファッションリテーラーはASOS(エーソス)。アクセス数でいうと、Next、H&M、ZARA、New Lookというその他国内代表的ブランド・リテーラーを合わせた以上の数となっている[7]。ASOSの特徴は、実際店舗を持たずオンラインショップのみであること。

ウェブ上では商品のサムネイルにモデルが着用しているビデオを掲載したり、Try Before You Buyオプションを2017年と早い段階から開始しており、ダントツで業界内トップである。

2.2 ZOZOTOWNを越えた!? ECスタートアップのFarfetch(ファーフェッチ)

ロンドンに本社を置く、インターナショナル・ファッションEコマーススタートアップのFarfetch(ファーフェッチ)。ニューヨーク、ロサンゼルス、ギマランイス、ポルト、リスボン、サンパウロ、上海、モスクワ、香港、東京と展開し、現在世界中でも最も注目を浴びているECサイトである。

老舗ブランドから新進気鋭のデザイナーズブランド服(レディース、メンズ、キッズ)、ヴィンテージアイテム、腕時計、ファインジュエリを取り扱い、世界190ヵ国へと配送している。現在Farfetchのサイトは12ヵ国語にローカライズされており、多言語によるカスタマーサポートや世界18都市で利用できる当日配達オプションも用意されている。

ハイエンドな商品をオンラインで取り扱うという点では、日本でもおなじみのZOZOTOWNに似ている。しかし、価格、売主、在庫において決定的な違いがあり、これらがFarfetchの成功要因となっている。

価格帯に関しては、ZOZOTOWNは定価販売である一方、Farfetchはセール価格で提供している。なぜこれが可能なのかというと、Farfetchの売主は2018年3月31日時点で2,900にものぼる世界中の各セレクトショップだからである。在庫も各セレクトショップの在庫を使っているので余計なコストを大幅に削減することができるという仕組みになっている。一方ZOZOTOWNの売主は実際のブランド、また在庫は自社の倉庫を使用しているため、どうしても価格を下げることは難しい。

この違いから明らかなのは、ZOZOTOWNはブランド服のネット店舗としての意識が高い一方、Farfetchはどちらかというとブランド服の在庫処分という感覚が大きい。これによって価格を下げ、急速に拡大できているといえる。

2.3 Boohoo(ブーフー)、Pretty Little Thing(プレティー・リトル・シング)、Missguided(ミスガイデッド)

ASOSの直接の競合社が、Boohoo(ブーフー)、Pretty Little Thing(プレティー・リトル・シング)、Missguided(ミスガイデッド)の3社。これら3社もASOS同様にオンラインショップのみ。

イギリスのECファッション業界における最大の消費層、ミレニアル世代。彼らにとってオンライン専門ショップの方が人気ということがわかってきた。

WGSN Barometerの調査によれば、購入層のミレニアル世代にとってはオンライン専門リテーラーの方が、実店舗をもつ従来のリテーラー大手H&MやTopshopよりも「エクサイティングである」と考えているとのこと。しかも、この「エクサイティングである」ことが、リピート率に直結していることがわかり、これらASOS競合3社を含むファッション系ECサイトの成功はこれにかかっているということがわかった[8]

以下の表は、16~39歳の購入者のうち、オンラインショップ4社とその他従来型のリテーラー3社を「ミレニアル世代購入者がエキサイティングだと思うファッションショップ」を分布したもの。

オンラインショップのみのリテーラー(ASOS、Pretty Little Thing、Boohoo、Missguided)の人気は一目瞭然。リピート率でいっても、Boohooのオンライン購入頻度は年間一人当たり3.8回の一方、H&Mは1.9回だった。

2.4 イギリスECファッションを引っ張るミレニアル世代

では、ミレニアル世代購入層が求めるファッションの「エクサイティングさ」とは何なのか。

同調査から浮かび上がってきたのは、スタイルの良さや、価格ではない。どこもユニークなスタイルを展開しており、また安ければ安いほどいいという傾向もない。では何をさすのかと言うと、2つの意味における「スピード感」である。

一つは前述したようなスピーディーな配送、受け取り、返品などの「リアルライフショッピング」に限りなく近いテンポの良さ。MetaPackの2017年のコンシューマー調査によれば、 都市に住む54%の人が1時間以内の郵送を希望し、また15%は時間指定。また35%もの人が多く払ってでも郵送を早めたり、時間指定したいといっています。

二つ目は、トレンドへの敏感さとそれをいかに素早く商品化し、ラインアップを更新していけるかという意味でのトレンドアップデートのスピード。

この2つの意味でのスピード感が、ASOSを含めたこれらのようなオンラインショップ専門リテーラーの成功の背景にあるといえる。

3. まとめ

日本同様運送インフラやロジスティックスが整っており、オンラインでの購入比率が非常に高いイギリス。 ファッション分野に関しては、ミレニアル世代が中心にマーケットを引っ張っていることがわわかりました。様々なオプションやサービスも増え始め、より快適に、素早く、リーズナブルにショッピングを楽しみたいというニーズに答えられるショップが厳しい競争のトップで生き残っているような印象を受けます。

今回はファッションに特化しましたが、次回のECシリーズでは、スーパーマーケット・小売業を取り上げます。 そのヨーロッパの他Eコマースに関するご相談がある場合は、弊社にお気軽にご相談ください!

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